機械設計科(CAD 専門学校)

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卒業製作@八-3 荷Zの仕様

2014年10月02日 卒業製作@八-3 荷Zの仕様

八王子チーム 設計演習/卒業製作の授業です。
校内荷物運搬車 DAIHACHI荷Z(仮)設計製作中

今回は荷Zの仕様について紹介します。


「仕様」という言葉の意味は少し説明が難しいのですが、この場合「この機械が達成すべき能力」と置き換えて問題ないでしょう。
まず、荷Zは荷物運搬が目的なので、荷物を運搬できなければなりません。
当たり前ですよね。
では具体的に何がどの程度であれば荷物を運搬するのに十分な性能であるのか。
最初にこの事を明確に設定しなけば設計は始まりません。
さすがにそのすべてをここで紹介するのは避けますが、もっとも基本的な能力だけ紹介します。

・積載能力100kg
・登坂能力10%勾配
・登坂速度15km/h以上
SN3V0312-Rszd登坂能力は八王子キャンパス最大の難関であるグラウンド横にあるキツい坂を基準に多少の余裕を持たせています。
坂の勾配については、日頃校内で測量の実習をやっている土木造園科の先生に聞きました

積載量は人ひとりが着ぐるみを着て十分乗れる重さを想定しています。
なんでそんなもの運ぼうとしていたかは(まだ)秘密です

速度については「リアカー引いた方が早い」となっては意味がないので、歩行の二倍を目処としています。

車両の仕様が決まれば、それを実現する方法をさまざまな観点から検討していきます。
構造・製法・設備・コストなどなどなど・・・
今度は部品一つ一つの「仕様」を確定していきます。
その検討を実現可能な精度まで高めていく過程がすなわち「設計」という行為なわけですね。
荷Z開発ノート-Rszd

過程はノートに「記録しろ」と指導しています。
「これは何故こうなんだっけ?」とあとあと確認する必要が必ず出てくるからです。

では、ノートの中身をザっと紹介します。
IMG_4998-Rszd
最初期のラフスケッチです。「ポンチ」などと言います。
当初は電気モーター前輪駆動、タイヤもネコ(一輪車)用の物を使用する簡易な計画でしたが…
IMG_5002-Rszd
手持ちのモーターではこうなります。
動力のキホンですが、力は速度と引き換えにいくらでも増やすことができます。
が、その為に巨大な減速装置が必要になってきて搭載スペースの問題から前輪駆動が成立しなくなりました。
また、電気の消耗が激しくバッテリーもアっという間に消耗し、そのあとは1日充電しないと使えないという仕様でした。
バッテリーをたくさん搭載すればその分重くなり、ますます消費は激しくなり、しかも充電時間はますます延びるいたちごっこです。
高性能モーターやリチウムイオン電池などを購入すれば解決できますが、今度はコストが数倍に跳ね上がります。

ここで一同、なぜ電気自動車が高価なのかを納得した次第です。

結局坂を登る時はエンジンを使用、走りながら充電できるハイブリッド案となりました。

IMG_5003-Rszd

サスペンションについてはまた詳しく解説しますが、当初は超低床構造を予定していました。
(ノートに「FR駆動の場合」と書いてありますが「FF駆動」の間違いと思われます。)
前輪駆動を諦めて後輪駆動化したため、ディファーレンシャルギアが必要となりました。
ディファーレンシャルギアとは動力を左右輪に振り分けると共に左右輪の回転差を吸収する装置です。
この搭載の為床が高くなり、ついでに(?)凝ったサスを企て後々ヒイヒイ言う羽目になるのでした

IMG_5004-Rszd

ポンチも徐々に精度が上がっていき、現実性を帯びてきます。

IMG_5005-Rszd

設計の途中で、図面とは別にこの様な図をたくさん書きます。
これは問題を整理するとともに、担当者間で誤解なく共有したり、上司に説明するためです。
これを「DR(デザイン・レビュー)」と言います。

余談ですが私が昔働いていた会社では、手ぶらで上司に会いに行っても「絵を持って来い」の一言で相手にしてもらえませんでした。
設計の仕事の半分は人に説明するための作業、と言っても過言ではありません。
当然コミュニケーション能力も極めて重要なスキルとなります。
一人で設計して一人で製造する工業製品など凡そないからです。


ではでは、個々の部品の設計と製作状況はまた後日報告いたします。
お楽しみに

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